ゆかりある場所での暮らしと、得た気づき

今回は、大阪から移住された福井さんにお話を伺いました。


ー生まれも育ちも大阪の福井さんと、この地域は何かご縁があったのでしょうか?

遠縁のお墓がこちらにあり、幼い頃からよく訪れていました。大阪では、熊野エリアをコンセプトにしたバーで働いていました。そのバーはのちに勤めることになる、地域おこし分野のコンサル会社の社長が副業で営んでいて、その会社ではイベントチラシや広報紙の記事などを作っていました。新宮市の御燈祭の紹介記事を書いたこともあります。

ーなんだか運命的なつながりですね。この地域にはどんな印象をお持ちでしたか?

空気感が他と違いました。特急の車窓から見える広い海岸の景色、タクシーで山々に囲まれた道を走っているときの神秘的な光景…。別の旅行で行った場所とは違う、特別な空気を感じました。大人になると、仕事などで辛くなった時にリフレッシュしに来るようになりました。どんどん行く頻度が高くなって、毎週末に行くようになるとさすがに住むことを考えました(笑)。

ー移住に向けて、どうやって情報収集をしていましたか?

とにかくこの地域に来ていました。同じ時期に移住を考えていた友人と訪れては、地元の方に声をかけていました。空き家と思しき家の近所の方に話を聞いたり、「この家空いているよ」と教えてもらったり。最終的に、この地域への移住を考えている人を個人的にサポートしている方を紹介いただき、紀宝町の家を見つけることができました。移住後も何度か引っ越していますが、だいたいこの地元の方に聞く方法で家を見つけています(笑)。

ー紀宝町を選んだ決め手はありましたか?

紀宝町の家を紹介してもらったことが大きいですが、ある程度利便性も重視していて、新宮市が近いのに静かで自然が多いところも決め手でした。あと紀宝町は明るくて開けた雰囲気があって、その点も良いなと思いました。

ー住み始めてからの驚いたこと、困ったことを教えてください。

近所の方が家の草刈りをやってくださっていたり、干していた布団を入れてくれていたりして、はじめは距離感の近さに驚きました。やってくれた方も、「余計なお世話と思ったら言ってね」と言ってくださったので、ありがたく好意を受け取り、仲良くお付き合いをさせていただけました。困ったことはムカデが出たことですね。天井から降ってくることもありました…。あとはすぐ近くへも車で移動するので、運動不足になります(笑)。

ー移住してよかったなと思うことはありますか?

水、野菜、魚…。食べ物がなんでもおいしいことです。食べ物は生活に占めるウエイトが高いと思うので、ありがたいですね。特に野菜はスーパーであまり買わなくなりました。無人市場で買ったり、近所の方にいただいています。あとは自分で作り出せる環境にいるのも良いと思います。たとえば街に住んでいたとして、災害時などでスーパーの棚から品物がなくなったら食べ物に困りますが、こちらでは土に何かを植えていたら収穫できます。水道が止まっても、湧き水の場所を知っていると安心です。

ー現在のお仕事内容を教えてください。

普段は近所のお店でパートをしています。他に、町内の施設を借りてコミュニケーションをテーマにした交流カフェを定期的に開いています。このカフェは、移住仲間に影響を受けて始めました。その方はもともとコミュニケーションの講座を開いていて、もしこのコミュニケーションを考えることに出会わなければ、私は下手したら大阪に帰っていたかもしれません。

ーその「コミュニケーションを考える」について教えてください。

たとえば、借りた家を「丁寧に使う」の「丁寧」は、人によってさまざまだと思うんです。自分は丁寧に使ったつもりでも、相手は丁寧ではないと思っている。実際にトラブルになったことがあり、自分がこれまで普通や当たり前だと思っていたことは、相手にとってそうではないと気づきました。それから相手は何が言いたいのか、なぜそう言うのかを意識するようになり、もともと苦手だった人付き合いが苦手でなくなってきました。思っていることや考えを話して、分かち合いながら解決策などを話し合えたら、余計な諍いが生まれないと思うんです。この気づきを広めたくて、交流カフェを開いています。

ー仕事以外の時間は何をしていますか?

家をDIYしています。今は倉庫を子供部屋にしているところです。時間をかけて壁や床を剥がして、普段なかなか見られない部分を見るのが面白いですね。あとは裏山の手入れをしたり、時間があればコーヒーの生豆を煎って、ハンドドリップでコーヒーを楽しんでいます。最近このあたりでも増えてきた古民家カフェに行って、お客さんと交流することもあります。

ーこの町で暮らす中でいいなと思うこと、不満なことはありますか?

いいなと思うことは、イベントが多くて楽しいことですね。ただ、子育て世代や65歳以上の方向けのイベントは多いですが、自分のようなミドル世代向けは少ないように感じます。

ー今後実現させたいことを教えてください。

ミドル世代を対象とした、軽い運動やストレッチをしながらの交流会を開きたいです。日頃友人たちと、このまま何もしないと筋力が落ちていく一方だよねと話していて、ちょうど今開催に向けて動いているところです。講師は呼ばず、それぞれがこれまで体験してきたヨガやピラティス、本で見つけた方法などを持ち寄る形式にしたいと考えています。それぞれの体験やアイデアを集めて、みんなで作っていく動きが今後も増えたら良いなと思います。

ー最後に、移住を考えている方にメッセージをお願いします!

とりあえず思い切って動いちゃってください。来るだけでもいいです。来ていろんな人の話を聞いてみてください。思ってもいなかった想定外のことが起こって、新しい発見がありますよ。


文中の「コミュニケーションをテーマにした交流カフェ」にご興味ある方は
まずは紀宝町移住定住サポートデスクまでお問い合わせください。

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