米中 宏志さん・京子さん
東京都葛飾区 → 紀宝町
2023年移住
今回は東京都から移住された米中さんご夫妻の、紀宝町での暮らしを伺いました。
ー移住前はどんなお仕事をされていましたか?
京子さん) 訪問看護師をしていました。当時はお互い忙しくしていましたね。
宏志さん) 畳職人をしたり、ボウリング場の機械整備などの仕事をしていました。
ー紀宝町に住むことになった経緯を教えてください。
京子さん) 紀宝町は、地域医療について情報収集をしていた際に、町内にある相野谷(おのだに)診療所の先生のSNS発信で知りました。のちに一緒に協力隊で移住することになる沼澤さんからの情報提供もあり、移住を考えるようになりました。まずはフリーの仕事で動きやすくなっていた夫に、町の下見に行ってもらいました。下見後、「いいところだった」と彼が気に入っているなら大丈夫かと思い、協力隊に応募して、合格したので移住することになりました。
宏志さん) ちょうど「田舎に住みたいね」と話していたタイミングでした。妻から話を聞いたとき、まず紀宝町の名前に惹かれました。「紀宝」の字面が綺麗なので、行ってみたいなと思いました。下見の際は、お試し住宅を借りて数日間滞在しました。滞在中はずっと大雨でしたが、楽しかったんです。雨で道が通行止めになって、見たかった家を見に行けなかったり、列車が止まって帰れなくなって急きょホテルを予約したりしましたが、非日常を味わえて面白かったです。
ー移住に関する情報はどうやって集めていましたか?
宏志さん) 主にネットで情報収集をしていましたが、まだ紀宝町を知らないときに、移住相談センターも利用しました。都道府県ごとの相談窓口があって、何ヶ所かの窓口に行きました。窓口の方に「東京みたいに◯◯がないですけど大丈夫ですか?」「チェーン店の◯◯がないですけどいいんですか?」なんてことを言われました(笑)。
ー移住するにあたり、何か支援制度は使いましたか?
京子さん) 移住支援金(東京23区に在住または通勤する人が、東京圏外に移住する際に支給される支援金)をいただきました。
ー紀宝町に移住後、びっくりしたことはありますか?
京子さん) 野生動物が身近にいることですね。静岡の地元は、30分ほど山の方へ歩くとサルがいますが、この町は生活圏を車で走っているとシカに会ったりするので、はじめはサファリパークかと思っちゃいました(笑)。
宏志さん) 良くも悪くも、何もないところです。都会みたいに誘惑もないから、バイクをじっくり直そうとか、あの資格をとってみようとか、何もないからこそ自分の時間が生まれるので、僕は良いと思います。
ー困ったことはありますか?
宏志さん) ネット通販で欲しいものを買っても、2日ぐらい待たないと届かないところですね。あと、試してから買うことが難しいです。たとえばゲーミングチェアが欲しいとなったときに、近くにお店がないから座り心地が試せないんです。そういうところが困るというか、不便ですね。
ー来てよかったなと思うことはありますか?
京子さん) 宏志さん) 自然が豊かなこと、人が優しいこと、夜が静かなことです。東京では高速道路沿いに住んでいて、寝る時に車の音や、人の話し声が聞こえないのがすごく助かっています。今みたいに静かなところにいると、当時はうるさいところにいたんだなと改めて思いますし、静かな環境にいられることがありがたいです。
ー話は変わって、現在の仕事内容を教えてください。
京子さん) 地域おこし協力隊として、2024年11月にオープンする、町立訪問看護ステーションの立ち上げ支援に従事しています。オープン後も引き続き携わる予定です(※)。他に、町内に2ヶ所ある「認知症カフェ」のお手伝いや、月に1度、がん患者さんやそのご家族、子育て中の方が気軽に話せる「kokoroカフェ」を開いています。(※インタビューは10月に実施)
宏志さん) 保育補助と葬儀関係の仕事をしています。保育の世界は経験がありませんでしたが、仕事を紹介してもらったのをきっかけにやってみよう!と思い、始めました。やったことがないことや、初めてのことは積極的にやるタイプなんです。実際に始めてみると、想像と違ったこともありますが楽しいです。ピアノも習いはじめ、曲のレパートリーを増やしています。今はピアノが一番楽しいかもしれません(笑)。
ー休日など、仕事以外の時間は何をしていますか?
京子さん) 自然の多い場所に出かけています。山歩きや梅仕事など、季節のイベントや体験にお誘いいただくこともあります。今年は収穫させてもらった梅の実を焼酎に漬けて、梅酒を作りました。
宏志さん) バイクのメンテナンスをしたり、YouTube用の動画を撮ったりしています。YouTubeはこちらに来てから本格的に始めました。先日スーパーで買い物をしていたら、「YouTube見ています」と声をかけてもらいました。ちょうど広報紙に記事を掲載してもらった後だったので、みなさん見てくださっているようで嬉しいです。
家族で三反帆に乗船
ー地域の活動には参加されますか?
京子さん) 住んでいる地区の「生活防災」に参加しています。防災意識は高くなりましたし、有事の際は役に立つと実感しています。地域の行事に参加すると、近所の方と顔見知りになれるので、普段の生活も気持ちがいいです。かといって参加を強いられないので、自分たちのペースを保てています。夫は最近消防団に入って、これから本格的に活動するみたいですよ。
「鮒田エリアサイト」はこちら
ー紀宝町の好きなところを教えてください。
宏志さん) 景色が綺麗なところです。特に山と海はどこから見ても綺麗ですね。ツーリング中に、バイクと景色の写真を撮るんですが、どこに停めても絵になります。車やバイク、自転車が趣味の人は楽しいと思いますよ。一番好きな景色は、自宅近くの田園風景が広がる先に山々が見える景色です。いつも犬の散歩をしながら眺めています。
ー最後に、移住を考えている方にメッセージをお願いします!
宏志さん) 田舎暮らしは、変化を好む人、自分から「面白い」を探しに行ける人が楽しめると思います。今趣味がない人は、見つけた方が楽しく過ごせると思います。あと、都会から田舎に移住する場合、特に家具などの大きいものは移住前に揃えておいた方がいいです。来てからでも揃いますが、田舎はお店の数が限られていたり、ネット通販は届くまで時間がかかったりするので、できたら先に買って、持ち込むことをおすすめします。
京子さん) 気になる場所には実際に行ってほしいです。「こんなことがしたい」「こんな暮らしがしたい」というような憧れや理想はそんなに持たず、お試し住宅などの使えるものは使って、実際にその場所を感じてから判断してほしいですね。
宏志さんのYouTube:よねの田舎を満喫ch